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スポーツ外傷、障害
スポーツに起因する障害のことをスポーツ障害といいます。
また、スポーツ中のケガをスポーツ外傷といいます。
どちらも、スポーツ種目、年齢、性別、スキルに大きく左右されるため、やや特殊な面があり、治療にあたっては、個々のスポーツの動きと筋骨格系のシステムを熟知している必要があります。
スポーツ活動を継続しながら治療
元来、単純に使いすぎなどの責任にされることが多く、障害の治療はスポーツ活動の休止を薦められることが多かったスポーツ障害ですが、当院では、障害を受けやすい体質がベースにあると考えており、それを改善することにより、スポーツ活動を継続しながら治療できる場合が増えてきています。
故障との戦い
スポーツをやっていると、ともすれば、目先の試合での勝利、あるいはレギュラーになることに固執し、スポーツ本来の目的である健全な肉体と健全な精神を養うことを忘れがちです。
痛いのを我慢して練習し、あるいは無理を押して試合に出場し、そのために取り返しのつかない障害が残ってしまっては健全な精神を育むことはできません。また、将来プロを目指しているのであれば、尚更故障を残さないことが大切です。
スポーツの世界は上に行くほど故障との戦いです。選手が、スキルの不足ではなく、故障が元で成績も上がらなくなり、一線から退いていくのも一つの事実です。
故障は身体システムがスポーツに順応できない状態であることを体が教えてくれているのです。その情報を読み取り、身体システムを正常化することが故障の治療になります。同時に今後の故障の予防、さらには身体システムの効率化に伴いパフォーマンスの向上を目指す治療に当たっています。
オスグッド病
症状・経過
小学高学年から中学までの、発育期のスポーツ少年のお皿の下の骨(脛骨粗面)が徐々に出てきて、痛みを生じてくるものをいいます。
スポーツで、特に飛んだり、跳ねたり、またボールを蹴る動作の繰り返しにより生じてきます。休んでいると痛みが無くなりますが、スポーツを始めると痛みが再発します。成長期に特徴的な痛みです。診断は上記症状とレントゲン検査で分かります。
原因・病態
大腿(太もも)の前の筋肉(大腿四頭筋)が(お皿を介して)つながる脛骨の付着部の、骨端軟骨の剥離です。
この時期は急激に骨が軟骨から成長する時期で、膝を伸ばす力の繰り返しによりこの成長軟骨部が剥離するために生じます。
治療
これまでスポーツを控え、炎症を抑える電気治療や温熱療法、大腿四頭筋のストレッチなどが行われてきましたが、当院ではそれらに加え、原因となる体質を変えることが重要と考えており、それにより運動を中断することなく改善することも多くなっています。
また再発も少ないようです。
スポーツ復帰
痛みが無くなれば軽いジョギング程度から開始し、少しずつ運動強度を上げていきます。
基本的に痛みが出なければ、痛みの消失後2週間くらいで復帰を指導しています。
ジャンパー膝
膝のお皿の骨の一番下の部分が痛くなる障害です。主にオスグッド・シュラッター病と同様のスポーツ活動で起こりますが、やや年齢が高い傾向があります。
治療はやはり炎症を抑える電気治療や温熱療法、ストレッチなどが行われてきましたが、当院では原因となる体質を変えるのが重要と考えており、それにより運動を中断することなく治せることが多くなっています。また再発も少ないようです。
足首の捻挫(足関節捻挫)
捻挫の起こりかた
バスケットボールやバレーボールで、ジャンプの着地で誤って人の足の上に乗ってしまったり、サッカーやラグビーで、グラウンドのくぼみや芝生に足をとられて、足首を捻ってしまうことがあります。足首の捻挫は、スポーツで起こることの多い「ケガ」のひとつです。
捻挫の分類
捻挫とは、関節を支持している靱帯が痛むことです。靱帯の痛む程度によって、捻挫の程度を三つに分けています。
I度の捻挫は、靱帯が伸びる、2度の捻挫は、靱帯の一部が切れる、III度の捻挫は、靱帯が完全に切れると定義されています。
捻挫の症状
足首の捻挫は、多くは足首を内側に捻って起こります。そのため、足首の外側の靱帯がいたみます。外くるぶしの前や下に痛みがあり、腫れがみられます。また外くるぶしの前や下を押さえると、痛みがあります。
捻挫の治療
I度とII度の捻挫では、R.I.C.E.処置を行います。III度の捻挫ではR.I.C.E.処置を行いさらに2~3週間の固定をすることがあります。また、手術を行うときもあります。
スポーツ復帰までのリハビリテーション
リハビリテーションをきちんと行わないでスポーツに復帰しますと、捻挫を繰り返したり、足首に痛みなどの後遺症を残すことがあります。リハビリテーションは三つの段階に分けられます。
第一段階は、捻挫をした直後の時期で、それ以上はひどくならないようにR.I.C.E.処置を行います。
第二段階は、捻挫してかたくなった足首を柔らかくし、動きをよくすることと、足首の周囲の筋肉を鍛え、衰えた筋肉の力を取り戻すことが必要です。
第三段階は、バランスをとる練習をします。さらに、ジョギングやダッシュ、ストップ、サイドキックなどの実践練習も行って、スポーツに復帰します。
スポーツ外傷の応急処置(RICE処置)
スポーツ外傷とスポーツ障害
「スポーツ外傷」とは、スポーツ活動中、身体に一回の大きな力が加わることによって起こる「ケガ」です。一方、「スポーツ障害」とは、繰り返すスポーツ動作で身体の特定部位が酷使されことによって起こる「故障」です。「スポーツ障害」は別名、「使いすぎ症候群」と呼ばれます。
応急処置とは
スポーツ現場で「ケガ」が起こったときに、病院や診療所にかかるまでの間、損傷部位の障害を小さくとどめるために行う方法を「応急処置(RICE処置)」といいます。この応急処置を行えば、早期にスポーツ復帰を果たすことができます。しかし応急処置をしなかったり、不適切な処置を行うと復帰までに時間がかかります。
RICE処置
応急処置の基本は、RICE処置です。RICEとは、rest(安静)、ice(冷却)、compression(圧迫)、elevation(挙上)の四つの処置の頭文字を並べたものです。RICE処置は捻挫や肉ばなれなどの四肢の「ケガ」で行います。
- Rest
損傷部位の腫脹(腫れ)や血管・神経の損傷を防ぐことが目的です。副子やテーピングにて、損傷部位を固定します。 - Ice
二次性の低酸素障害による細胞壊死と腫脹を抑えることが目的です。ビニール袋やアイスバッグに氷を入れて、患部を冷却します。15~20分冷却したら(患部の感覚がなくなったら)はずし、また痛みが出てきたら冷やします。これを繰り返します。(1~3日) - Compression
患部の内出血や腫脹を防ぐことが目的です。スポンジやテーピングパッドを腫脹が予想される部位にあて、テーピングや弾性包帯で軽く圧迫ぎみに固定します。 - Elevation
腫脹を防ぐことと腫脹の軽減を図ることが目的です。損傷部位を心臓より高くあげるようにします。
疲労骨折
疲労骨折とは
疲労骨折とは、1回の大きな力による通常の骨折とは異なり、骨の同じ部位に繰り返し加わる小さな力によって、骨にひびがはいったり、ひびが進んで完全な骨折に至った状態をいいます。
スポーツ選手では短期的に集中的なトレーニングを行ったときに起こることが多いです。
発生要因
選手自身の技術、体力の問題
- 筋力の不足
- アンバランスな筋力
- 未熟な技術
- 体の柔軟性不足
など
練習、環境の問題
- オーバートレーニング
- 選手の体力、技術に合わない練習
- 不適切な靴
- 固すぎたり、柔らかすぎる練習場
など
診断と治療
明らかな外傷が無く、慢性的な痛みがあるとき疲労骨折を疑います。
まずエックス線写真をとり、骨折の有無を確認しますが、わからない場合も多く、そのときは経過をみて数週間後に再度エックス線写真をとるか、MRI検査や骨シンチグラフィーの検査をします。
多くの場合、局所を安静にすることで治りますが、時に手術が必要な場合があります。
再発予防
疲労骨折発生の原因と考えられる筋骨格系の異常を改善し、疲労骨折が起こりにくい体質に改善するとともに、普段から練習環境、練習量、練習方法に注意し、練習前後のストレッチなどを欠かさず実施することが大切です。
リトルリーグ肘
投球動作の繰り返しにより肘の内側の痛みが出てくる障害です。10歳から13歳くらいまでに頻発します。リトルリーグで小さい頃から投球動作を繰り返すことにより起こるためこのような俗称が使われます。
肘の内側の軟骨部分が靱帯に引っ張られて離れてしまうのが原因で、我慢して投球していると靱帯機能不全を将来的に来すことになります。その結果、肘の外側の軟骨がはがれ、野球が続けられなくなることもあります。
投球肩障害
投球を繰り返す中学生から社会人までの方の障害をまとめてこのように呼びます。その中には、さまざまな障害が含まれており、スペースの関係で省略しますが、肩以外の部分の障害がもともとあり、それにより肩に負担がかかって痛みが起こるのをよく経験します。
リハビリのみで投球を継続しながら治ることもあれば、内視鏡下の手術を要することもあります。投球数の指導も重要と考えます。
アキレス腱断裂
病態
アキレス腱断裂は、踏み込み・ダッシュ・ジャンプなどの動作でふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)が急激に収縮した時や、着地動作などで急に筋肉が伸ばされたりした時に発生します。
腱の退行性変性(いわゆる老化現象)が基盤にあると考えられています。
30~50歳のスポーツ愛好家に多く、レクリエーション中の受傷が多いのが特徴です。
バレーボール、テニス、バドミントン、ソフトボールなどでの受傷が多くみられます。
発症
受傷時には、『ふくらはぎを棒でたたかれた』とか『後ろからボールが当たった』、などと感じることが多く、腱が断裂した時の音(バチッとかパンとか)を自覚していることもあります。
受傷直後は踏ん張ることができずに転倒したり、しゃがみこんだりしますが、比較的痛みは軽く、しばらくすると歩行可能となることも少なくありません。
しかし、歩行が可能な場合でもつま先立ちはできなくなります。
診断
アキレス腱断裂部に皮下の陥凹(へこみ)を触れ、同部に圧痛がみられます。うつ伏せで膝を直角に曲げた状態でふくらはぎを強くつまむと、正常では足関節は底屈しますが(Thompsonテスト)、アキレス腱が断裂するとこの底屈がみられなくなることが特徴です。
ほとんどの場合、通常のレントゲン検査では異常を認めません。
治療
治療は、断裂したアキレス腱を直接縫合する手術治療と、アキレス腱の自然治癒力を利用した装具を用いて腱の修復を目指す保存治療があります。近年、両者にほとんど治療成績の差がないことが分かり、スポーツ復帰までの期間、手術リスク、再断裂のリスクを考えて治療法を選択しています。ただ、装具による治療法はよりシビアな靱帯修復状況の評価が要求されます。
また、よく観察すると、もともとアキレス腱に負担がかかりやすい筋骨格系に原因があることが多く、腱が修復された後もそれは残存するため、再発予防のためには改善しておくことが重要と考えます。
スポーツ復帰
治療開始後4カ月程で軽い運動は可能となりますが、全力でのスポーツ活動ができるのには短くても6カ月はかかります。特に最初の3カ月程はアキレス腱に過度の負荷がかかると再び腱が断裂する危険が大きいので注意が必要です。スポーツを再開する時には運動前に入念なストレッチを行い、6カ月までは瞬発力を伴う動作は控えるようにしましょう。
問診票のご案内
当院では、ホームページから初診の方の問診票のダウンロードができます。
クリックするとPDFファイルが開きますので、黒のボールペンで記入、印刷してお持ちください。
窓口での問診票の記入が省けます。
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